「俺、白狼に聞きたいことがあんねん。」
「……。」
「ハルに会った。」
「…それで?」
ずっとシオンの考えを教えて欲しいと思っていたおーちゃん。
その疑問が、ようやく晴れようとしている。
「お嬢がハルと離れたくないんは分かった。でも、納得は出来んかった。」
「……。」
「ハルがおらんかったらお嬢が今ここにおらんとしても、俺は何が正解か分からん。やから白狼がアレンデールを出たお嬢が正しいって思った理由が知りたい。」
「……。」
シオンはただ黙る。
しばらく黙って、小さく口を開いた。
「…ムカつくから。」
「…は?」
「それで威張ってるハルに殺意が芽生えるから。」
「いや…は?」
思っていた答えとは、全然違う。
おーちゃんはせっかくここまで来たのに、シオンが珍しく馬鹿なことを言うので信じられない様子。
「…彼女がハルを呼ぶのも気に入らない。」
「…あ、もうええで。分かった。」
「ハルは馬鹿でウザくて頭も悪い。」
「もう単なる悪口やん。」
ただ言いたいだけかと、おーちゃんは呆れ始める。
「…ただあの檻を開けてやればいい。それをしないハルを殺したい。」
「檻…て。お嬢はもう出て来てるやん。」
「それはハルが開けたんじゃない。ハルが開けないと意味がないんだ。」
ちゃんと認めてもらって、ハルが開けてくれるその場所から外に出たい。ハルの口から聞きたい。
そう思っている私の心理を、シオンはいつから知っていたんだろう。
「そんな残酷な奴から離れて、少しずつ忘れさせてやればいいと思った。」
「忘れさせる…。」
「でも殺そうとしたら嫌われた。」
「き、嫌われる…!?」

