一点で止まったトキが、その場の板をコツコツと五回叩く。
すると下からその板が外れ降りられるようになった。
「やっほー。」
「…?」
部屋に降りて来て可愛く挨拶したトキに、シオンが首を傾げたのは。
再会した弟が、美少女を連れて来たから。
「…俺、見合いはしない。」
「「は?」」
トキが女嫌いであることを熟知しているシオン。
だからこの美少女がトキの想い人だとは思えず、自分に宛てがうために連れて来たと言う発想に至ったらしい。
「だっ…んむっ!」
「ちょ、俺も笑い堪えるの必死なんだから今は叫ばないでっ…!」
咄嗟におーちゃんが叫ぶのを口を押さえて阻止したトキ。
それを見てシオンはまた不思議そうにする。
「…駆け落ちすんの?」
「こっ、いつ…!俺や!オウスケ!」
「…瞬兎?」
「誰がお前と見合いして弟と駆け落ちすんねん!?」
もうお腹を抱えて静かに笑い転げるトキさん。
仲良くて何よりです。
「…彼女は?」
「リンは来てないよ。箝口令の中出られなくなるの嫌なんだって。」
「そうか。」
「箝口令の中身はさっきユイ姫に聞いた。シオン今からでも父さん止められない?」
「無理。」
キッパリと言い切ったシオンを見て、トキは肩を落とす。
「…あんたは何しに来たの。」
そんなシオンがおーちゃんに視線を向ける。

