「たぶんエゼルタに箝口令が敷かれてる。トキがシオンのこと心配してるから、レンのお供にして王都まで通してあげてほしいの。」
「は?」
「レンが一緒なら他国の王族に危害は加えないだろうから、すんなり出て来られるでしょ?」
「いや、エゼルタ…箝口令…?」
スーザンは理解が遅いです。
打って変わって、我らがトキさんは瞬時に状況を把握する。
「やっぱ箝口令か。シオンが鷹も飛ばせないってことは家に見張りでも付けられてるみたいだね。あ、リンおかえり。」
「ただいまー。シオンとトキのことだから、こんなことも想定して何か策がないかなって思ってるんだけど。当たったりしない?」
トキは少し驚いて、すぐにニコリと笑う。
「うん。とりあえず行けさえすればシオンから状況は聞けると思う。」
「天才軍師兄弟すごいっ!」
「それを読んじゃうリンも充分すごいって。」
「ってことで、スーザン良い?」
これには、一つリスクを負わなければならない。
セザールとエゼルタの間に、もしかしたら争いの火種を残す可能性もある。
「…リンは、エゼルタ王のことを分かってて…この話を俺に?」
「風の噂でね。」
「…セザールとエゼルタの条約に、剣を立てろと…言ってるんだな。」
自国でも他国でも関係なく、王の心身に関することは口外が禁じられている。
エゼルタ王の診察に以前レンが派遣された。
つまり、セザールとエゼルタには何かしらの契約か条約が交わされたんだと思う。それをレンと共にさらに他の人間を連れて行って欲しいと私は相談している。
「あくまでも相談だよ。トキは元々エゼルタの人だから、そんなに揉めないと思ってる。けどこの国の軍事に関わってるから、ここはトキの意見も交えて決めて欲しい。」
スーザンは黙り、悩んでいる様子。
しかし、一言私に質問を投げる。
「リンは…危険ではないのか?」
「私は行かないよ。」
「「「…え?」」」
…え???
三人揃って、何を疑問に思ってるの?

