(二)この世界ごと愛したい




ふわりと踵を返し、王妃は去る。



私もせっかく許して貰えて、ここを通して貰えたので。遠慮なくスーザンを探して王宮を歩く。





「り、り、リン…!?」


「あー良かった。ちゃんと会えた。吃りすぎだけれども。」



いつもの広間に行くと簡単に会えた。


お久しぶりのスーザン。




「お願いがあるのー。」


「この無礼者め!陛下の御前だぞ!」


「ごめんごめん。スーザンこれ煩いからどっかやってくれるー?」


「へ、陛下の名を呼び捨てに!?そして我々をどっかやってだと!?」



相変わらずここの重役達は煩い。


なので人払いを申し出た。ギャーギャー騒がれているが、私を見つけたスーザンは何故か呆然としている。




「ま、幻…?」


「陛下!幻ではなく妖です!」



どっちでもないわ。失礼な。




「ちょっと真面目にお願い。」



私が睨むと、スーザンは慌てて人払いをしてくれた。


不用心且つ信用し過ぎな気もするが、友達だからね。相手が私で良かったね。




「お願いと相談があるの。」


「まずは食事でもどうだ!?」


「いや、お腹空いてない。それより…」


「じゃあ庭園を散歩しないか!?」



…この野郎。


話をしてくれる気はあるんだろうか。





「スーザン。」


「何だ?茶か?菓子か?何が欲しい?」


「私はたぶん今から身勝手なお願いをすると思う。他国に知られないように、水面下で動いて欲しい。」


「…身勝手な…頼み?」