(二)この世界ごと愛したい




行って来ますを伝え、セザール王宮を目指した私。


おーちゃんの心配は杞憂に終わり、難なく王宮に着いた私は急ぎスーザンに会わせて欲しいと頼む。




「突然現れて陛下に面会とは何と無礼な。」


「あーもう早くしてよー。私急いでるんだって。レンも後から来るからさー。」



もう天井を壊すのは悪いと思い、正面から入ろうと思ったらこれだもんな。


今度は壁でも壊してやろうか。





「…通して差し上げなさい。」



通り掛かったとある人が、私を通せと衛兵に言い放った。




「お久しぶりですね、アレンデールの戦神。」


「…王妃…様。」



私が斬った阿呆王の奥様。王妃様。


この人もあまり感じが良い人とは言えないが、今は感謝だ。




「スーザンに御用と?」


「…はい。」


「そう。後でお茶でも出させましょう。」


「…え?」



お、お茶???


私は仮にも自分の夫を殺した仇では???




「ど、毒…ですか?」


「…スーザンは私の子です。」


「え…あ、はい。」



いや、ん?


スーザンが実子だとしたらレンは?お母さん亡くなったって言ってなかった?時系列おかしくない?




「私が王妃の椅子に座るのは二度目です。」


「後妻…再婚ですか。」


「ええ。レンの母を娶るため私は捨てられ、そして更にその後に娶られた女は子を成す前に殺しました。」


「お…。」



おっかねえ!!!


怖い怖い!殺しましたって何!?




「そしてまたこの座を手に入れた。そうまでしてでも、私はスーザンに地位を与えたかった。」


「…そう、ですか。」


「あの子は父と兄を見て育ち、そしてその両方を貴女に殺された。」


「…ですね。」



だから毒を盛ろうと言うのか?飲まないぞ?ここで出されたお茶は絶対飲みませんよ?





「しかしその結果、王座はスーザンが手にした。」


「災い転じて…ですか。」


「私は貴女に毒など盛りません。」


「し、失礼しました。」