「うわ、こんなにたくさんっ…!」



トキが私に準備してくれたのは数十冊はあると思われる軍略に関する本。



…嬉しすぎる。





「まだ昼間だってのに寝る前みてえだなあ。」



相変わらず部屋でダラダラしているアキト。




「私これ読むだけだから邪魔なら他行こうかー?」


「この城でここ以外どこに行くつもりだよ。」


「じゃあアキトがどっか行く?逆に気遣わせるのも申し訳ないし?」


「…行かね。」




アキトって本当に暇なんだな。


遠回しに、私の読書の邪魔をしないでほしいという意味も込めてたんだけど通じなかった。





「まずはこれにしよー。」



私は一冊手に取り、すぐに読み始める。


すると少しでも横になれと言われたので寝台にゴロゴロ横になって読み始めた私。





「…充分軍略詳しいくせに、わざわざ読まなくていいだろうに。」


「じゃあトキは何で持ってると思ってんのー。」




私は初見だから心惹かれるのは勿論のこと。


でも既に何回も読んでいるだろうトキが手元にわざわざ置いていると言うことは、それだけ重要で貴重な文献だと言うこと。



それを貸してくれるんだから、こんなに有り難いことはない。





「…俺との稽古は?」


「夜。」


「何で?」


「隊長が何度も敗北する姿をみんなに見せるのは忍びないから。」


「俺が負ける前提か!?」




逆に何で勝てると思ってるんだろう。


私は残念ながらアキトには負けない。






…今は。





「まさかこのまま妨害し続けるつもり?」


「……。」


「…静かにしててね?」


「…変態のくせに。」




わざわざそこ掘り返すのか!?




どこまでも私の読書の邪魔をしたいらしいアキト。


私は堪らず一度本を閉じて、アキトを睨む。