(二)この世界ごと愛したい




いただいたコーヒーをちゃんと飲んでから、再び外へ出ようとする私をおーちゃんが引き止める。




「お嬢、大丈夫なん?」


「あー謀反は起こしたけどね。セザール王宮は特に今は問題ないよ。重役達は煩そうだけどー。」


「そうやなくて。寝てへんのに大丈夫なん?」


「寝ないのは久々だけど、戦の時はしょっちゅうだったし慣れてるよー。」



謀反の心配かと思えば身体の心配だった。


一日寝ないくらいは何とかなるよ。人間そんな簡単にはくたばりません。





「…今仮に襲われたら?一人で行けるん?」


「え?」


「無理なら行かん方がええ。」


「…大丈夫だよ。追手の数は明らかに減ったし、私はそんなに簡単には負けないので。」



やけに心配そうなおーちゃん。


しかし私もここは引けないもので、強引ですみませんがこのまま行きます。



まだまだ大丈夫なつもりだけど、仮に大丈夫じゃなかったとしても敵国になる第一将のおーちゃんを王宮へは連れて行けないし。





「もし助けがいる時は呼ぶから、飛んで来てくれる?」


「…どうせ呼ぶ気ないんやろ。」


「うわ、おーちゃん可愛くない。」


「可愛くなくて結構やけど、ほんまに用心しいや。」



何をそんなに不安に思ってるかは知らないが、とりあえず早く行こう。


日が高く昇ってしまえばレンとトキが着いてしまう。



それよりも先に、私はスーザンに会わなければならない理由もあった。