私が忘れていた手前、蔑ろにするのは可哀想だし。だからって私も自分の用事を後回しにはあまりしたくない。
どうしたものか。
「…仕方ない。あんまり巻き込みたくないけど、レンに頼もうか。」
「は?セザールの王子?」
「おーちゃんが変装して紛れ込んだら、運良くそのまま出られるんじゃないかなーと思います。」
「変装?」
説明しましょう。
要は、レンに診察と題して入国を試みてもらう。そこにおーちゃんは助手として潜り込めばそのまま出してもらえるだろう。
そこに一緒にトキも添えれば、頭の良い兄弟だからこんな時のために何か策を施して、シオンから何か得られるんじゃないかと考えています。
「…ってな感じでトキにも都合聞いてみよー。」
「俺は白狼会える!?てか王子が診察に呼ばれるかなんて分からへんやろ!?」
「私も早めに予定済ませたいからおーちゃんも頑張ってー。レンが入れるかどうかは、今からトキに会うついでに友達に頼んでくるよ。」
「…友達?」
とりあえずレンのとこにも行かなきゃだし。
てか、呼ぶ方が早いかもな。トキも含めて集結させる方が私には効率的で嬉しい。
「もうしばらく会ってないし位が高すぎるから、上手く行くかは微妙だけど。」
私はペンを取り、レンとトキに手紙を書いた。
『明日の正午に王宮で会いたい。』
たったそれだけ記した手紙。
「セザールの王様に直談判してくる。」

