(二)この世界ごと愛したい




私が忘れていた手前、蔑ろにするのは可哀想だし。だからって私も自分の用事を後回しにはあまりしたくない。


どうしたものか。




「…仕方ない。あんまり巻き込みたくないけど、レンに頼もうか。」


「は?セザールの王子?」


「おーちゃんが変装して紛れ込んだら、運良くそのまま出られるんじゃないかなーと思います。」


「変装?」



説明しましょう。


要は、レンに診察と題して入国を試みてもらう。そこにおーちゃんは助手として潜り込めばそのまま出してもらえるだろう。


そこに一緒にトキも添えれば、頭の良い兄弟だからこんな時のために何か策を施して、シオンから何か得られるんじゃないかと考えています。





「…ってな感じでトキにも都合聞いてみよー。」


「俺は白狼会える!?てか王子が診察に呼ばれるかなんて分からへんやろ!?」


「私も早めに予定済ませたいからおーちゃんも頑張ってー。レンが入れるかどうかは、今からトキに会うついでに友達に頼んでくるよ。」


「…友達?」



とりあえずレンのとこにも行かなきゃだし。


てか、呼ぶ方が早いかもな。トキも含めて集結させる方が私には効率的で嬉しい。





「もうしばらく会ってないし位が高すぎるから、上手く行くかは微妙だけど。」




私はペンを取り、レンとトキに手紙を書いた。



『明日の正午に王宮で会いたい。』


たったそれだけ記した手紙。






「セザールの王様に直談判してくる。」