(二)この世界ごと愛したい




驚きのあまり私を離したハルから、パッと離れ。


笑顔で手を振ります。




「私の限界来たら呼び出すねー。」


「俺の限界は三秒後だ。」


「ハルは自分で何とかしてー。」



ブツブツ文句を言いながら、馬に乗ったハル。


その姿もとっても格好良いです。本当は離れたくないのは私で。本当は三秒と持たないのは私です。




「…リン。」


「うん?」


「頼むから泣くなよ。笑ってろ。」


「…うん。」



胸の痛みをどうしても共有してしまう私達。


私が泣くと、ハルにも及んでしまう痛みからハルを守りたいので。



私はもう一度ハルに笑顔でまたねと伝えた。


それを見届けて走り去るその背中を追い掛けてしまいたい私は、いつまで経ってもハル離れが難しい。






「…また…言ってくれなかった。馬鹿ハル。」



ハルの背中を見送って、私は店内に戻る。




「びっくりするくらい寂しそうな顔してるで。お嬢大丈夫か。」


「言わないでー。情けなくなるから。」



店内に入ってすぐにカイにつっこまれる。




「俺、ハルがお嬢から離れへんと思てたけど。どうも逆らしいな。」


「おーちゃんまで…。」



バレてしまった。


仰る通り。今も昔も変わらず、ハルから離れられないのはどう見たって私の方なんです。





「…ん?ハル?」


「んあ?」


「おーちゃん、ハルって言った…?」


「あー。俺のことも呼び捨てされたし、俺も今後ちゃんと名前で呼ぼう思て。」



何なんだ、その可愛い理論。




「…私のことは呼んでくれないのに?」


「は…はあ!?お嬢は名前呼んだらあかんからしゃあないやろ!?」


「ハルばっかりずるい。」


「ずるいって何やねん!?」



いいよなー。ハルはお得だなー。


私は身バレすると良くないので仕方ないっちゃ仕方ないが。