「俺は次いつ会えるんだ。」
「……。」
「分かるまで帰らねえ。」
めんどくせえ。
適当に嘘ついてもバレた時がめんどくさい。ならば正直に言う方がマシか。
「しばらくは帰らない。」
「しばらくって?」
「…今はエゼルタに集中する。それが終わったら帰る。」
「根拠は?」
ハルのくせに根拠とか言うな。
「絶対帰る。ヤハネを落とす策を、展開しに行かなきゃいけないから。」
「国を…落とす…?」
「うん。私が戦に参加しちゃうとフェアじゃないから、私は出ないけど。」
「俺にイヴを討てって?」
「ハルじゃなくて、るうにするって言ったじゃん。」
それに討ちたいのは将ではなく国そのもの。
立ち塞ぐのは勝手だが、ここは私も押し通る覚悟だ。
「…国を落とす意味分かってんのか?」
「戦で奪った城を疎かにするハルより、理解してるつもりだよ。」
ハルの感情は色々混ざっていそうだ。
だから別の機会で、ちゃんと色々落ち着かせてからゆっくりと話したかったのに。
「ここに来て良かった。カイは私に世界を教えてくれるの。だから今、私の目には世界が半透明くらいに見える。」
いずれ誰かがやらなきゃいけないんだよ。
半透明の世界が言ってる。
「国が国を落とす天下への道筋が、少しだけ見える。」
世界は、一つになりたいと言ってる。
「この世界で、天下の文字が似合うのはハルしかいないよね。」
「お前…。」
「まー気長に待っててよ。今の私の夢は、ハルに天下をプレゼントすることなの。」
その夢の先で、また二人で一緒にいたい。
「馬鹿か。お前にそんなもん貰って俺が喜ぶと思ってんのか。」
「…ごめんね、これは私のためなの。」
「……。」
「夢半ばで終わったら笑ってね。何せこの乱世は厄介な将軍多いからさー。」

