私だって出来る限り怪我させないようにしてあげたいけども。
あまり手を抜いても意味がない。
「極力良いバランスでやろうと思うけど、無傷は無理だろうから先に謝っとくねー。」
「…さ、サクくん…死なない?」
「そこは保障するから安心していいよー。」
それにどちらかと言うと厄介なのはアキトの方だ。
そのままの長所を伸ばすだけでいいサクと違って、私はアキトの型から壊したいと考えている。
手探りでの稽古だから、下手すると大怪我するのはアキトだ。
「あ、サクくんとリンちゃん広間に行ってて!私お食事の準備しなきゃだった!!」
「お腹空いてたんだったー。ハナちゃんありがとー。」
そしてサクと広間に入り。
それぞれ座って食事を待ってると、先にアキトがやって来て私の隣に座る。
「……。」
「……。」
顔を見たらさっきの不慮の事故を思い出した。
アキトからキスされたことはある。
あるけど、今日のは事故とは言え私からやってしまったので。
…なんかもう。
恥ずかしいです!!!
「〜っ。」
「何思い出してんだ、変態。」
思い出し赤面した私を変態呼ばわりするアキト。
「へっ…私は別に…!」
「とりあえず食ったら寝ろ。あんまり寝てねえだろ。」
「いや、私トキのお部屋に行きたい。」
「トキはもう王宮に向かった。本は俺の部屋に運んだって言ってたぞ。」
神様仏様トキ様。
大感謝です。
めちゃくちゃ嬉しいです!!!
私は今日の楽しみに期待を膨らませ食事を済ませて、ハナちゃんに頼んでシャワーをお借りして。
終わらせることを終わらせてアキトの部屋で目一杯読書を楽しむことにしました。

