落ち込むハルには悪いんだけれども、ここから私はまた面白くない話をする。




「ハル、軽く打合せしたいんだけど。」


「…断る。そんな怠い話は嫌だ。」


「…そっか。」


「それより次いつ帰って来る?」


「……。」


「おい!」



つーんとそっぽ向いた私に、ハルがいつ帰って来るのかをひたすら聞いて来る。


勿論、返事はしません。




「リン!?」


「……。」


「帰って来る日聞いてるだけだろ!?」


「うん?私もそんな怠い話したくないから?」



別に怠いとまではいかないが、面倒ではある。


帰るタイミングなんて正直分かんないし、聞かれても困る。だから怠いから聞かない理論に乗った。





「…話…どうぞ。」


「ありがとー。私がるうとエゼルタ行った時なんだけどさ、五万くらいで進軍してほしいの。」


「はあ?」


「タイミングは私が合図する。指揮は別にハルじゃない人でいいから。」



ハルは理解不能な様子。


それはそうだ。ソルとの大戦をやった直後に、軍事国家として強国と名高いエゼルタと戦うこと。それはアレンデールにとって、かなりの負担。




「…その先にお前がいるなら、行くのは俺だ。」


「あ、本当に大丈夫。ハルが来たってどうせ会えないよ。」


「ああ?」


「一回目の合図で進軍。二回目の合図でそのままアレンデールに戻ってね。」


「意味が分からん。」



こんなふざけた指示なので五万の兵も、わざわざ徴兵せずとも一般市民をそれっぽく見せるだけでもいいと追加で伝えた。




「合図なければ何もしなくていいから。」


「お前今度は何企んでんだよ。」


「あーいつも通り?ただ悠々と駒が踊るのを眺めようかなって思って?」


「…シオンはダメだからな。」


「全部片付くまでシオンとは関わる気ないよー。」


「片付いてもダメだ。」



そこはシオン次第だから何とも言えない。


でも、あの邪狼には一応警戒はしたいと思ってます。




ハルにパルテノン王都まで送ってもらって。


先に口を回してくれていたのか、ハルが一緒なのにも関わらず国門を開けてくれた。


こうして無事にカイの酒場まで戻って来ることが出来た。



…が。




「もう、泣かないでよー。」


「やっぱり嫌だ。リンと離れるのは嫌だ。」


「また帰るから。ね?」


「嫌だー…。」



馬から降りても、私から離れようとしないハル。


酒場の前でやれやれと思う私に、声が届く。





「中まで丸聞こえやで。お嬢おかえり。」


「カイただいまっ!ちょっと待ってね!ハルちゃんと聞き分けて!!」


「あー騒ぎになると面倒やから、とりあえず中入り。」



それを聞いてハルは私を抱えたまま、素早く酒場の中へ移動。



…いや、帰れよ。