「どう?私やれば出来っ…!?」
「……。」
ハルにすぐに感想を聞こうと思ったら、聞く前にその腕の中に引き込まれた。
「は、ハル?」
「…綺麗だった。」
「ほんとっ!?」
「ああ。綺麗すぎて苦しい。」
それは大変だ。
心配なのでハルを見たいのに、私を離すつもりがないハルはそのまま動かない。
「ハルちょっと離して?大丈夫?」
「……。(今世は…仕方ねえ。)」
「ハル?」
「仕方ねえって、頭では…分かってるんだ。」
ただ私を抱き締めるハル。
その声は、あまりにも苦しそうで。悲しくて切ない痛みが私にまで届く。
「…ハル、見て。」
「…ん?」
「桜の花、ちゃんと咲いたよ。」
満開には程遠いが。
蕾が開いた花があるので、私はそれをハルに見て欲しいと伝えた。
「ハルの想いが届いたんだねっ!」
「…そんなのはいい。」
「えー。」
「お前がそうやって、笑ってくれるなら…それでいい。」
笑うよ。
楽しいもん。嬉しいもん。ハルの隣は幸せだもん。
「大好きだよ。」
「ああ。俺も…。」
ハルはいつだって、私を好きだとは言わない。
可愛いは何万回と言われてきたが。
「俺も?なにー?」
「お前分かってて言ってんだろ。」
「えーわかんないー。」
「…言わね。」
いいんだ。
今世は私が伝え続けたいと思う。
生まれ変わって。
裏山の桜の花が咲いた場所で、巡り会うその日まで。

