「…おーい。アキトー。」


「……え?」


「ラッキーに惚けてないでさっさとご飯食べておいで。俺もう王宮向かうから。」


「…あ、ああ。」




一部始終を目撃していたトキに諭されるが。


アキトはまだ放心状態。




「やっぱ純情だね。」


「だっ、誰が純情だ!?」


「じゃあ行ってくるよ。読んでもいい本アキトの部屋に何冊か置いといたから後でリンに言っといて。」


「気を付けて行けよ。」




こうして、そのままトキは王宮へ出発。


少しの間アキトの城を離れることとなった。







「隊長ー!」


「…さっき呼んだのお前だな!?」


「そうっす!ご褒美タイム邪魔してすんません!」


「アホ!お前は良くやった!!!」




角度的にご褒美の瞬間が見えなかったのか、逆に妨害してしまったと謝る隊員を大いに褒めるアキト。





「で、どうした?」


「あー。それが街でおかしな流言が流れてたんで隊長ご存知か聞きたくて。」


「なんだ?」


「アレンデールの鬼人の話なんですけど…。」




ハルについての流言。


その内容を聞いたアキトは一瞬驚いたものの、前々からと比べ今も普段と変わらない私の様子も鑑みて信憑性に欠けると判断。





「どうせデマだろ。もし本当ならリンが絶対何か知ってるはずだし。」


「やっぱそうっすよね!」


「ああ。また俺も街に行った時に聞き耳立てとく。」




言いたいことだけ言い終えた隊員は、走り去る。














「…鬼人が結婚なんて、まさかな。」