ようやく最後の一人。
と思ったんだけれども。
「…なんでアキトが並んでんの。」
「バレたか。」
「私疲れたからちょっと休むねー。」
ようやくご褒美タイムが終わって、私は解放されたとホッとしていました。
けど何を思ったのか、アキトが私の腕を引く。
「俺には?」
「はい?」
「ご褒美。」
「…何のご褒美?」
アキトはボール取ってないじゃん。
「俺も頑張った。」
「自分の軍でしょ。」
「朝身を挺して起こした。」
「……。」
それは、確かに。
でも、それはこんなことで許されるものではないような気もするけど。
既に数百とご褒美を授与した日なので、もう今更一人増えても手間は変わらないかと開き直った私。
「はいはい。」
「よし!」
「アキト大きいからしゃがんでください。」
「かっ…。(可愛い!!!)」
私の目線まで降りてきたアキトの顔。
…そう言えばアキトも無駄に男前だったな。
ふとそんなことを考えながらも、さっさと済ませようと私はその頬に唇を近付ける。
「あ、隊長ー!」
誰か知らないけど、隊員の一人がアキトを呼んだことで。
アキトの首が動いた。
そのため私の照準も自ずとズレる。
…チュ。
と、頬に入るはずが。
唇同士がくっつく想定外の事態。
「っご、ごめ…ん。」
「……え?」
「わざとじゃないです!ごめんなさい!!!」
私は居た堪れなくなり、その場から退散。
アキト呼んだ奴誰だよ!!!
心の中で逆ギレしながら私は城の中へ戻る。

