(二)この世界ごと愛したい




ようやく最後の一人。


と思ったんだけれども。





「…なんでアキトが並んでんの。」


「バレたか。」


「私疲れたからちょっと休むねー。」




ようやくご褒美タイムが終わって、私は解放されたとホッとしていました。




けど何を思ったのか、アキトが私の腕を引く。




「俺には?」


「はい?」


「ご褒美。」


「…何のご褒美?」




アキトはボール取ってないじゃん。




「俺も頑張った。」


「自分の軍でしょ。」


「朝身を挺して起こした。」


「……。」




それは、確かに。


でも、それはこんなことで許されるものではないような気もするけど。




既に数百とご褒美を授与した日なので、もう今更一人増えても手間は変わらないかと開き直った私。





「はいはい。」


「よし!」


「アキト大きいからしゃがんでください。」


「かっ…。(可愛い!!!)」




私の目線まで降りてきたアキトの顔。



…そう言えばアキトも無駄に男前だったな。




ふとそんなことを考えながらも、さっさと済ませようと私はその頬に唇を近付ける。






「あ、隊長ー!」



誰か知らないけど、隊員の一人がアキトを呼んだことで。



アキトの首が動いた。


そのため私の照準も自ずとズレる。





…チュ。



と、頬に入るはずが。






唇同士がくっつく想定外の事態。







「っご、ごめ…ん。」


「……え?」


「わざとじゃないです!ごめんなさい!!!」




私は居た堪れなくなり、その場から退散。




アキト呼んだ奴誰だよ!!!


心の中で逆ギレしながら私は城の中へ戻る。