ハルがお店にやって来て。
私の名前をただ呼んで。
私がハルに堕ちる時に、この場の誰もが天使が舞い降りたのだと錯覚した。
「リン寝ちゃったの?」
「ハルが戦から帰って来る時は決まってこうなんだ。鬱陶しい。」
「ルイてめえ、誰のリンが鬱陶しいって?」
「リンじゃねえ。鬱陶しいのはお前の顔だ。」
眠った私をトキが心配して声を掛けてくれる。
すぐに喧嘩するハルとるうは置いといて、私はハルが戦から戻るといつも割とすぐに寝る。今日は長く起きてられた方だ。
「僻むな。俺のリンだ。」
「まず鼻水拭け、汚ねえ。リンが汚れる。」
ハルの顔はもう涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。
「オウスケ、お嬢戻るまではエゼルタ行かれへんな。」
「…コイツからお嬢離させれば行けるやろ。」
おーちゃんは尚もハルへの怒りを鎮めきれず。
トキとエゼルタのシオンの元へ行くことも諦めてはいない。
「お前は馬鹿か。俺は戦わねえ。」
「はあ?急に大人しくなって何やねん?」
「リンが起きるだろ。」
「…何やコイツ、アホなん?」
私が起きるのを危惧したハルは、おーちゃんとは戦わないとはっきり断る。
「リンが寝てんの邪魔すんな。ここで暴れて起きたらどうなると思ってんだ。」
「ど、どうなんねん。」
「俺がキレられんだぞ!?リンの寝起きの悪さ舐めんなよ!?」
「……。」
「それだけならまだ良い。嫌われたらどうする。もう口も聞いてくれなくなったらお前はどう責任取るつもりだ。」

