(二)この世界ごと愛したい





「じゃあ、よーいドン。」



と同時に私の班が稽古開始。


要領覚えてもらうために、少しだけ見学しているその他の班。





「リンちゃんのチューは俺がもらった!!!」


「馬鹿野郎!俺だ!!!」




抜刀した隊員達が一斉に襲い来る中、飄々と避けて躱してをとめどなく繰り返す。




実際これしんどいのボール持ってる側なんだよね。さらにご褒美も取られるし。


でも今は剣持ってないけども、みんなが要領覚えたら持ちますよ。




「アキトとサクもぼちぼち始めてねー。」




と言うことで、全ての班が稽古開始。



もう大賑わいでみんなそれぞれ楽しそうに、ボール遊びしています。


私に関しては慣れてるので、それはそれは自由自在のボール捌きで誰にも奪わせません。





「バラバラに行ってもだめだ!手貸せ!まとまって行くぞ!!」


「おう!リンちゃんの唇を奪うぞー!!!」




ここでようやく私からボールを奪う方法に気付き始めた人達が出てくる。


私は個々で立ち向かってる人にボールを渡すつもりはサラサラない。集団の利を活かして敵を討てる人を育てたいもので。



目ぼしい感じの人には敢えて奪わせたりもします。



まあ、奪って欲しいのは唇じゃなくてボールなんだけれども。






「うん、いい感じだねー。」


「よっしゃー!取ったー!!!」




私はようやく初めてボールを手放した。


お名前も知らないその人に近付き、そっと腕を引っ張りほっぺチューをプレゼント。




「〜っ!!!」


「おめでとうー。君は抜けていいから今日は上がって休んでね…って、おーい。」




一人目の成功者はその場で悶絶。




「今なら俺もう死んでもいい!!!」