「じゃあ、よーいドン。」
と同時に私の班が稽古開始。
要領覚えてもらうために、少しだけ見学しているその他の班。
「リンちゃんのチューは俺がもらった!!!」
「馬鹿野郎!俺だ!!!」
抜刀した隊員達が一斉に襲い来る中、飄々と避けて躱してをとめどなく繰り返す。
実際これしんどいのボール持ってる側なんだよね。さらにご褒美も取られるし。
でも今は剣持ってないけども、みんなが要領覚えたら持ちますよ。
「アキトとサクもぼちぼち始めてねー。」
と言うことで、全ての班が稽古開始。
もう大賑わいでみんなそれぞれ楽しそうに、ボール遊びしています。
私に関しては慣れてるので、それはそれは自由自在のボール捌きで誰にも奪わせません。
「バラバラに行ってもだめだ!手貸せ!まとまって行くぞ!!」
「おう!リンちゃんの唇を奪うぞー!!!」
ここでようやく私からボールを奪う方法に気付き始めた人達が出てくる。
私は個々で立ち向かってる人にボールを渡すつもりはサラサラない。集団の利を活かして敵を討てる人を育てたいもので。
目ぼしい感じの人には敢えて奪わせたりもします。
まあ、奪って欲しいのは唇じゃなくてボールなんだけれども。
「うん、いい感じだねー。」
「よっしゃー!取ったー!!!」
私はようやく初めてボールを手放した。
お名前も知らないその人に近付き、そっと腕を引っ張りほっぺチューをプレゼント。
「〜っ!!!」
「おめでとうー。君は抜けていいから今日は上がって休んでね…って、おーい。」
一人目の成功者はその場で悶絶。
「今なら俺もう死んでもいい!!!」

