そして朝稽古開始の日。
稽古の詳しい時間は指定されていなかったと記憶しているが、早い時間に私を呼ぶ声が聞こえる。
「トキ!リン!もう集まってんぞ!!」
「……。」
「…あーアキトおはよう。」
トキの部屋を訪ねて来たアキト。
私が遅くまで付き合わせたトキと、それより更に遅くまで本に没頭した私はアキトが呼ぶまで眠り続けてしまい。
「…意外と寝れたな。」
「はあ?」
「いや、愛しいリンの横で眠れるアキトが凄いなと思ったけど。俺も寝れた。」
「あー普段心配ばっかしてる分、側にいると落ち着く…って誰が愛しいって!?」
ギャーギャーとアキトが騒ぐが。
私の瞼はまだまだ開かない。鉛のように重い。
「可哀想だけど起こそうか。」
「ああ。」
こうして私は半ば強引に起こされる。
「さっさと起きろ!!!」
「う…。」
「トキ、ハナにコーヒー頼んで来てくれ。頭が冴えるらしい。」
アキトが気の利いたことをひらめき、トキはハナちゃんの元へ向かう。
「リン!今日から稽古だろ!?鬼人の修行早くやるぞ!!!」
「…う…さい。」
「あ?なんて?」
「…うるさい。」
刹那。
アキトは後方に吹き飛ぶ。
「なっ…り、リン!?」
ふらりと立ち上がった私。
私はあまりここからの記憶はありません。
ただ、もう眠くて眠くて。
気付けば目の前で死んだように横たわったアキトが映り、私は首を傾げる。
「リンー。コーヒーもらってきた…って、アキト何してんの?」
「…分かんない。」
「とりあえず、これ飲んで稽古よろしくね。」
「ハナちゃんのコーヒー!ありがとー!」
私は大喜びでコーヒーを受け取り、目覚めの一杯をいただきます。
すごく美味しいです。
寝不足の頭も冴えます。有り難いです。
「今日からしっかり働くぞー。」

