(二)この世界ごと愛したい




三冊無事に読み終えて。



私は隣のトキを見ると、すやすやと可愛い寝顔で眠っている。





「…おやすみ、トキ。」




本を元あっただろう場所に片付けて。


私もトキの隣で目を瞑る。







いつの日か分からないトキの結婚。


その日が来たら、トキはたぶんこの軍を去らなきゃいけない可能性が高い気がする。



それは何となくトキの采配と、その表情から読み取れた。




私も政略結婚を経験した人間だから、こんな時代だし避けて通れない結婚もあると理解はしている。






「私を送り出した人も、こんな気持ちだったのかな。」




どうせ結婚するなら。


どうか幸せになってほしい。




辛い思いをする結婚ならしてほしくない。




サクとハナちゃんを見たから余計に、こんな夫婦で溢れてほしいと思う。





…でも、難しいよね。




だから私も一度は結婚したんだし。



相手がレンだったから良かったけど、運が悪ければエリクだったかも。かつてのスーザンだったかも。もっと最悪は前王だったのかもしれない。





「良い人だといいんだけどなー…。」




トキの相手はどんな人だろうか。




そんなどうしようもないことを考えながら、私も夢の中へと旅立つ。