(二)この世界ごと愛したい




総司令の身勝手さに周りは振り回されて。


抑え込もうとするも、結局罷り通らないのもいつものことらしい。



…しかし。


この場にも黙らない人間はいる。





「…それ、俺が出る。」



挙兵する軍の指揮を取りたいと申し出たシオン。


それを見て、周囲はさらに目を丸くする。




「シオン様が自ら…!?」


「以前の連合軍での借りを返すおつもりですか!?」



シオン自身は、誰だか分からない将軍に任せて私に何か起こるのを恐れているだけで。


かなり不埒な動機だった。




「ダメダメ。シオンは彼女が相手だと調子狂わされるじゃん。それにまだ戦禁止中だよ。」


「…誰がいつ狂った。」


「ここはもう失敗出来ないから。」


「俺が出る。」


「はい、シオン退場。頭に血が昇って冷静に会議出来ないなら出てってね。」



不用意に殺気立ったシオンに対して、この場を去れと言い放った総司令に。


この場の全員がこの人だけには言われたくなかっただろうなと、思わずシオンに同情してしまう。




「…。(軍相手になると、彼女はまた力を使い過ぎる。人数次第では限界まで行くかもしれない。どの将に委ねる気だこの糞親父。)」


「大人しくしてるなら居ていいよ。問題は誰が指揮するか…だね。」


「…。(場合によっては行軍に紛れて出るか。)」


「もう良い加減に僕も彼女に会いたくてね。そろそろ兵を使い続けるのに不満の声も多そうだし。こんな勝手なことするとなると…ここが魔女狩りの最終決戦かな。」