(二)この世界ごと愛したい




おーちゃんは元々行く気満々だったのに対し、カイはヤハネ第一将からのコンタクトを待っているので。


そこと被るのを恐れて憂う。




「お前が文句も言わずに戦行くなんて、マジでお嬢にゾッコンやな。」


「戦言うても歩くだけでええらしいからな。」


「はあ?」


「お嬢が言うてたで。歩く指示だけでええって。」



カイは信じられないような顔をしているが。


それが本当なんですよ。そこもカイの力量次第だと私は考えていますが。




「やっぱ戦神の名前は伊達ちゃうな。さっぱり分からん。」


「大丈夫や、俺にも分からん。ほんまとんでもないお嬢をミケは連れて来たなって最近思うわ。」


「…猫は神の使い。ランも猫に好かれとったからな。」


「ランってお嬢の母親の巫女か。稀な血統やな。」



カイとママの関係性は知らないが、確かに歳は近いだろう。





「ミケはそれを分かって連れて来たんやと思うで。神の使いとしてな。」




そんなミケさんは、私が眠るベッドに密かに忍び込み。


暖を求めて寄り添って丸くなり一緒に眠る。




目覚めて起きて。


カイのコーヒーを飲んで。


おーちゃんと稽古して。


また動けなくなって。


少し休んで。


動けるようになれば飛んで。


そんなことをただ繰り返した。




だからか、疲労困憊。


もう蓄積されるだけの疲労に、ハルへの心労。



心と身体、どちらが先に限界を迎えるかどうか。現在それは私にも分からない。