(二)この世界ごと愛したい




そこをはっきりさせれば、きっと大丈夫。




「答えなくていいよ。後はその答えを守り抜くために策を講じるだけ。」


「…無手に等しかったら?」


「私なら無手でも思考は止めない。だってそうしてる時間よりも、その答えを守りきれない方がずっと苦しいと思うし。」


「…確かに、それは苦しいね。」




トキは息を一つ吐いて、寝台にごろんと横になる。


トキでも思い悩むことがあるんだなと。不謹慎にもそう思いながら私は本を読み進める。





「リンもこっちで読む?」


「…そうするー。」




お誘いいただいたので、私は三冊の本を抱えてトキの隣にうつ伏せで。肘をついてまだまだ読み続ける。




「私もこれ読んだら寝るし、トキも寝れそうだったら寝ててね?」


「うん。」


「王宮からすぐ帰って来る?」


「どうかな。なんせ王宮の軍部が馬鹿ばっかりだから、また捕まる可能性もある。」




そうかー。


トキは軍部にも助力しなきゃいけないから大変だ。だからと言って捨て置けるものでもないし。




「しばらくは稽古で怪我人は出さないようにするけど、徐々に斬ってくから。それまでには救護班手配のために戻って来てね。」


「…死者はやめてね。」


「そこは大丈夫。よっぽど私が寝惚けて手元が狂わない限りは。」


「じゃあやっぱ早く寝ようね。」




残念ながら今は本が優先ですー。



そう思ったので、読むペースを上げるために私はここから少し押し黙る。本に集中する。


トキは隣でそんな私を見つめてるだけ。





「…アキトよくこれで寝られるな。」


「……。」




トキはそんな疑問を抱えつつ。


まだまだ本の虫状態の私を眺めながら、その瞼は落ちていく。