そこをはっきりさせれば、きっと大丈夫。
「答えなくていいよ。後はその答えを守り抜くために策を講じるだけ。」
「…無手に等しかったら?」
「私なら無手でも思考は止めない。だってそうしてる時間よりも、その答えを守りきれない方がずっと苦しいと思うし。」
「…確かに、それは苦しいね。」
トキは息を一つ吐いて、寝台にごろんと横になる。
トキでも思い悩むことがあるんだなと。不謹慎にもそう思いながら私は本を読み進める。
「リンもこっちで読む?」
「…そうするー。」
お誘いいただいたので、私は三冊の本を抱えてトキの隣にうつ伏せで。肘をついてまだまだ読み続ける。
「私もこれ読んだら寝るし、トキも寝れそうだったら寝ててね?」
「うん。」
「王宮からすぐ帰って来る?」
「どうかな。なんせ王宮の軍部が馬鹿ばっかりだから、また捕まる可能性もある。」
そうかー。
トキは軍部にも助力しなきゃいけないから大変だ。だからと言って捨て置けるものでもないし。
「しばらくは稽古で怪我人は出さないようにするけど、徐々に斬ってくから。それまでには救護班手配のために戻って来てね。」
「…死者はやめてね。」
「そこは大丈夫。よっぽど私が寝惚けて手元が狂わない限りは。」
「じゃあやっぱ早く寝ようね。」
残念ながら今は本が優先ですー。
そう思ったので、読むペースを上げるために私はここから少し押し黙る。本に集中する。
トキは隣でそんな私を見つめてるだけ。
「…アキトよくこれで寝られるな。」
「……。」
トキはそんな疑問を抱えつつ。
まだまだ本の虫状態の私を眺めながら、その瞼は落ちていく。

