またそんな重たい頼み事をして、帰って行った。
帰った後、カイがすぐにコーヒーをくれるもので。私は笑顔が戻りすぐにいただく。
「お嬢すまん。こんなことになるなら、鉢合わんように日変えるんやった。」
「別に会って困るようなことないから大丈夫だよー。お説教が長いのがしんどいくらいで。」
「…にしても、あの人いつも穏やかで優しい人やのに。怒ったらおっかないな。」
「私はいつも怒られてばっかりだったから穏やかな方が見慣れてないかもー。」
そしてこんな時。
感受性豊かなこの人がどうしても、悲しそうに可愛い顔を歪ませてしまう。
「…おーちゃん大丈夫だよ。」
「何がやねん。」
「私にはいつものことだし。別に悪気があったわけじゃないんだよ。」
「悪気ないのが余計タチ悪いわ。」
外から見れば、分かりやすいんだろう。
城にいた頃はそんなこと考えもしなかったけど。
「コーヒー美味しいー。」
「おおきに。総司令とは話出来たか?」
「うん。お返事待ちなのー。」
「許して貰えるといいな。」
「そこは心配してないよー。どうせ引き受けて貰えるから。」
「…何でそんなん分かるん?」
あの総司令さんには決定権はなさそうに見えた。
だから返事にこれだけ時間を要する。
「余程の馬鹿じゃない限り、この天からの贈り物を拒んだりしないだろうからね。」
戦国の世で、何の犠牲もなしに城一つ手に入るなんてそんなことは滅多にない。
「何でお嬢はその贈り物をこの国にくれるん?」
「私なりにこの国に感謝もある…のと。単なる成果報酬だよ。」
「報酬?」
「お城の人と話して反応見るまで確実じゃないから言わなかったけど。今回の報酬を受けるに値するのは、お借りする兵でも私でもないよ。」
今回の戦。
最前線で戦うのは、他でもない。
「あの城を落とすのはカイだから。」
「「…は?」」

