あーあ。
おーちゃんは何故ここにいるんだろう。何もしないならどっかやってくれないかな総司令さん。
「意外と諦めが良いんですね。」
「意外…ですか?」
「戦神の名を持ち出すくらいですから、てっきり強行されるものと思っていました。」
「便利なんですよね。その名を使って、私負けたことないので。良い交渉材料になるかと思っただけです。」
「確かに。揺るぎない勝利とは喉から手が出る程に欲しいですが、ここは国の安全が第一。慎重にいかせてもらいます。」
国の安全…を考えて、慎重に。
どの国もそうだろうね。総司令なんて担うからにはそうあるべきだね。
「ですが、諦めたと言った覚えはございません。」
「はい?」
「別に私は今回戦がしたいわけではないので。あくまでも目的は兵だけです。」
「…すみません。意味が分かりません。」
「安全を第一にと仰いましたが、私はこの国に危険を強いた覚えはありません。貴方にはただ、その兵を歩かせるだけの指示をしていただきたい。」
要は進軍しているように見えればいい。
実際に戦闘にはならないだろうし。
「あ、歩かせる?だけ?」
「はい。それだけで敵は撤退するので。」
「は?」
「万が一交戦になる際も、何もしていただかなくて結構です。そこは私が対応いたします。」
「え?いや、そうなると…。我々にとってあまりにも都合が良すぎて逆に困ります。」
「勿論私は落とした城など興味もないので、お好きにどうぞ。このタイミングでしか成し得ないことですし、もし不要であればセザールにも打診してみます。どうかあまり思い悩まれず、ご検討いただけますと幸いです。」
あーもう疲れた。
喋り疲れた。言いたいことは言えたし帰ろう。
「…追って、お返事いたします。」
「一週間で答えをください。それ以上待つと…雲行きが変わりそうなので。」

