私を褒めて褒めて止まないカイを、とりあえず止めて。
これからの働き方の話をした。
私の情報について、発布する頻度を減らして欲しいこと。出現場所については今後私が主導で決めたいこと。それは鷹で連絡すること。
そしてしばらく飛び回り活発に動くため、ここへは毎回戻れないこと。
「まあ、俺はええけど。オウスケに何て言おかな。」
「上手く言っといてー。」
また、お休みのこともお伝えしました。
一応ハルの大将戦が終わる頃に、裏山で待つと伝えたので。たぶんしばらくは離しては貰えないだろうから。
「戦の序盤こそヒヤヒヤしたけど、気付けばもう大将同士戦ってんねんもんな。」
今も決して余裕ではないんだと思う。
もう明日か明後日には、ハルに似合わない雨が降るのがその証拠だ。
「敵がまだ何か仕掛けるんだと思う。この一週間乗り切れば風向きが変わるよ。」
「…鬼人の戦況報告どうする?見る?」
「見る…あ、やっぱ見ない。…嘘見る。」
「お嬢はほんま鬼人好きやな。」
…それはもう。
これだけヤキモキするくらいに好き。
気を抜くと今すぐに戦場に行ってしまいたくなるくらいに好き。
もう会いたくて泣きたくなるほどに好き。
「外の世界で、信じて待つことがこんなに苦しいなんて思わなかったの。」
「…そうやな。」
「私がハルに会えなくて苦しいのは、きっとハルが同じだけ同じ想いをしてるからなの。」
そう思って頑張るしかないの。
ハルは最前線で頑張ってるの。私の命の火を守るために。いつだって必ず帰って来る。
…分かってるのに。
人の心とは、どうしてこうも融通が効かないんだろう。
この場に大人のカイしかいないのを良いことに、言いたいことだけ吐き出して。
溢れる涙も止められないまま眠りについた。
「…いつかも聞いたような弱音やな。」
数十年前の記憶を辿り、カイは私を抱えて上の部屋に優しく寝かせてくれた。

