せっかくのお声掛けなので、お店の前でおーちゃんに鍛えていただき。
そんなことをしている間にカイは帰って来た。
そしてまたヘロヘロになって、動けない私をお店の中まで運んでくれるおーちゃん。
「お疲れさん。お嬢今日は店どうする?」
「出れないかもー。眠いー。」
「コーヒーは?」
「飲むー。」
稽古後の一杯を一人優雅にいただくため、私はカウンターに突っ伏して出来上がりを待つ。
態度悪くて申し訳ないんですが、今この体勢が楽なんです。すみません。
「オウスケ、お前は夜どうする?」
「ぼちぼち家帰らなあかんしなー。俺もパス。」
「ほな俺一人かい。」
「余力あれば私いるから、カイが寂しくないように頑張るね。」
「ヤバい可愛い。お嬢マジで嫁に来い。オウスケの。」
「えー。」
えーって何だとおーちゃんが騒ぐが、今はその相手も出来ません。
「そう言えばちゃんと聞いてへんかったけど。俺が帰らなあかんかった理由何なん?」
「あー…。ちょっとな。昔から欲しいと思てたツテが、ようやく実を結びかけてて。」
「カイが欲しいツテって、ヤハネか?」
「しかもビッグネームやし依頼受けたかってんけど、お前おらんのに危険やて城の許可降りひんくて依頼聞く前に勝手に断られた。」
ヤハネのビッグネーム。
そしてこのタイミングでの動き出し。
…やっぱ出て来たか。
「間からすみませんー。そのお仕事内容なら私読めるけど。」
「はあ!?」
ヤハネという国は、ほぼ鎖国国家。
アレンデールにピッタリと密接している国境。なので戦歴は基本的にアレンデールばかり。
「どこどこ!?ヤハネさんどこの情報が欲しいん!?」
「あ、情報はいらないと思うよー。」

