(二)この世界ごと愛したい





驚いているのか、二人とも固まる。




「あとお休みがほしいの。」


「…あ、ああ。休みは…ええけど。」


「王様はだめ?」


「…んー…。」



非常に困っていそうだな。


やっぱ、私みたいな危険因子をそう簡単に近付けられるわけないか。




「じゃあ側近の方でもいいよ。」


「…何の話なん?」


「それは秘密ー。側近じゃなくてもそこそこの役職で…軍の総司令さんとかだと話早そうで助かるかも。」


「ほな、オウスケの管轄やん。」


「でもおーちゃんにも言いたくないから取り次いでほしいの。」


「…ま、頼むだけ…頼んでみるわ。」



期待値低そうな顔だな。




「本もまだダメなの?」


「…あ、忘れとった。」


「おーちゃん酷い。もう自分で頼んでくるよー。」



お城の書庫見せて欲しいって頼んだの結構前だぞ。この感じじゃ話も通してくれてなさそうじゃん。


…やっぱり忍び込めば良かった。




「本って?」


「あー、お嬢が城の書庫行きたいねんて。俺が聞いててんけど忘れとった。」


「なるほどな。ここに運んでもろたらええんちゃう?」



え!?そんなこと出来るの!?




「そ、そんなことしてもらわなくても私が行くよ!?運ぶの手間じゃん!?」


「ほなそこは俺が口聞いたるわ。その代わり何の話するんか教えて。」


「……。」


「どうせ黙ってても総司令はオウスケのマブダチやから、結局バレるで。」



マブダチなの!?


それは隠し通せないね!?






「…兵を…貸して貰えないかなー…なんて。」


「アレンデールやなくて?この国の?」


「いや、まあ。断られた時はアキトのとこに頼もうと思ってるんだけど…。攻めたい場所的に…ちょっとね。アレンデールは無理かな。」


「…戦かー。」



ってなるから、二人には言いたくなかったんだ。


どんより暗い二人を前に、申し訳ない気持ちが募る。





「二人は関与しなくていいし!悪い話にはしないし!お取り次ぎだけ…だめ?」


「俺等は…せやな。何とも言えんけど、軍の話は確かに総司令やな。」



うーんと頭を抱えるカイ。


それを見て溜め息を吐いたおーちゃん。