「…そら良かったなあ。」
生まれてこの方。
可愛い可愛いと持て囃されて来たおーちゃん。それは男性である自分が最早女性顔負けなことを自覚出来るようになる程に。
だから、そんなことが堪らなく嬉しかったらしい。
「気持ちも伝えたからには、もう後退はせん。お嬢のことは死んでも守る。」
「……。」
「やから仕事は堪忍!悪いとは思てる!!!」
「…もうええよ。」
覚悟を決めたおーちゃんの目を見て。
カイに怒りなどもう微塵も残っていなかった。
「…もう大人のお話終わった?」
そこへ恐る恐る様子を伺いながら、私はミケさんを抱えて戻った。
「あ、お嬢すまんな。コーヒー出来とるしおいで。」
「嬉しいー。カイありがと。ミケさんもお腹すいたみたいで下降りるって聞かなくて…ごめんね。」
私の座る場所にコーヒーとアップルパイまで添えて置いてくださり。
ミケさんにも餌をあげるカイ。
「…私もカイにお話があるの。」
そんなカイに、あまり良くない話をせねばならないことが心苦しい。
「話?」
「…うん。」
「どないしたん?」
コーヒーを飲んで一旦落ち着きます。
「…この国の、王様と話がしたいの。」
これだけ良くしてもらって、多大なお金までお支払いいただいて、頼むことじゃないと思ったんだけど。
でも、もし叶うならお願いしたいことがある。

