(二)この世界ごと愛したい




私とおーちゃんのそんなやり取りを、カイが見てまた怒る。




「オウスケ、お前仕事放って反省もせんとお嬢とイチャついてたんか!?」


「あ、アホか!?反省した言うてるやろ!?」


「イチャついたことは認めるんやな!?何したか言うてみい!?」


「なっ…何て…〜っ!」



ちょっと待ってくれ!?


これ私まで被爆してますが!?




「うわー。二人で赤くなるって何なん。俺だけ除け者なん。嫌なるわー。」


「ち、違う!ちゃんとお稽古してました!」


「…稽古、な。そうやんな。お嬢がこんなアホ相手にするわけないわな。」


「あ、でも一緒にお風呂は入ってしまいました!」



素直に報告した私。


焦るおーちゃん。



そして、もう呆然とするしかない様子のカイ。




「ふ…風呂…。」


「お嬢お前いらんこと言うな!?ほんでカイ勘違いすなよ!?」


「…よしお嬢。ちょっと上でミケと遊んだって。オウスケと大人の話するわ。」


「うん。カイ、お金ごめんね。」


「ええねんええねん。可愛いお嬢のためやし、今からもっと価値ある話聞けそうやから。」



価値があるかは知りませんが。


ここは大人しくこの場を離れることにしました。逃げるが勝ちです。めんどくさそうだし。





「…何ニヤニヤしてんねん。」



私が立ち去る前から、もう緩む顔を制止出来ていないカイさん。




「どやった?」


「っ言っとくけどな!カイが期待してるようなことは何もしてへんで!?」


「隠さんでもええやん。お嬢エグ可愛かったやろ。」


「それはそう…っちゃう!本気で何もない!風呂言うても稽古の反動抑えるために服のまま沈めただけやし!」