パルテノン王都到着後。
馬車を降りておーちゃんと二人で酒場を目指して歩くが、おーちゃんの元気が徐々になくなって行くような気がした。
「…おーちゃん?」
「んー。」
「大丈夫?なんか元気ない?」
「気にせんでええよ。お嬢には害ないから。」
私には…?
おーちゃんには何かあるのか?
目的地である酒場に着くなり、私はカイのコーヒー欲しさにすぐにドアを開ける。
「カイ、ただいまっ!」
「おーお嬢おかえり。お疲れさん。」
頼まずともすぐにコーヒー準備に取り掛かるカイは流石である。
「…ただいま。」
「…どちらさんやろか?」
「……。」
「お嬢コーヒーちょい待っててな。すぐ出来るわ。」
…うん?
ただいまと声を掛けたおーちゃんに、カイが珍しく怒ってる?どちらさんって言った?
「え?なに?喧嘩?」
「心配いらへんよ。こんな仕事放り出して人の言うことも聞かんアホは俺の知り合いにはおらんから。」
…カイが怒っている。
それだけは分かった。分かったが原因も対処法も分からない。
「ほんまに心配せんでええよ。お嬢に害ないって言うたやろ。」
どうして良いか分からない私の頭にぽんっと手を置いて、大丈夫だとおーちゃんは言うが。
「…でもカイ怒ってる。」
「俺にな。」
「私も一緒に謝ってあげようか?」
「心配いらんて。」

