戯言を言い続けるよーちゃんの出血は止まらないまま。


おーちゃんとここはもう帰ろうという話で満場一致したので、このまま帰ります。




「よーちゃんまたねっ!」


「グハッ…!」


「お嬢止め刺すな。出血致死量超えるで。」



笑顔でお別れを言ったが、また血が吹き出した。


致命傷でないことを願います。



こうして私とおーちゃんは来た時同様、馬車に乗ってパルテノン王都への帰路を辿る。





「そう言えばカイなんて?」


「…別に。大したことないで。」


「またカイにお金借りちゃったなー。ちゃんと返済するために頑張って働こうー。」


「返済って、お嬢なんぼか分かってるん?」


「えー分かってないー。」



金銭感覚だけはどうしても身に付かない。


これも王族の性だろうか。




「そこそこええ家建つくらいやろな。」


「…え。」


「兄貴腕だけは本物やし。今回のは特注物やし。」


「やっぱりるうかママに頼んだ方が良かったかな!?」



そんな高額な支払いをカイにさせてしまったことが、途端に申し訳なくなってきた。




「カイが金に困っとるように見えるか?誰よりも貯め込んでるで?」


「…ほんと?」


「ほんまほんま。」


「うう…、けどやっぱりお返ししなきゃ。」


「第一お嬢まだ報酬受け取ってへんやろ。」



カイの酒場にお邪魔してから早数ヶ月。


当初は一ヶ月分の報酬をパルテノンに寄付する約束をしたが、その期間が過ぎても私はまだお金を受け取っていない。