この街に着いてから四日目の朝。
私はおーちゃんと、再びよーちゃんの店を訪れた。
「ハニー!」
「喧しいわ。剣引き取りに来た。」
「勿論美少女お嬢さんの剣も仕上がったで!お嬢さん待たせてごめんやで!」
差し出された剣を受け取る。
その違いにまず驚く。
「軽いっ!」
「こんな上物の剣扱うんハニーの時以来で緊張したわー。」
「よーちゃんありがとうっ!」
「ぬぅっ…。胸が苦しい!あかん!鬼人の大切な人に…!俺と言う奴は!!」
ガンガンと壁に頭を打ち付け始めたよーちゃん。
お元気そうで何よりです。
「あの、お支払い…すみません。」
「あ、もうカイに貰ったで。気に掛けてくれておおきに。これでまたディオンの遊郭行ける…あ。」
遊郭…。
なるほど、遊女さんたちと遊ぶためにお金が欲しかったのか。理解しました。
「安心してハニー!俺のハニーは一生お前だけやで!」
「気色悪いこと抜かすな!寧ろ早く身固めろ!ええ歳やねんから!」
「ええ歳で言うたらお前も…あ。」
「シバくで。」
私とおーちゃんに目を向けて、罰が悪そうな顔をしたよーちゃん。
すぐおーちゃんに怒られていたが。そんな姿を見て私は苦く笑うことしか出来ない。
「あ、ハニーそう言えばカイから連絡来てたん忘れとった。裏に置いてるわ。」
「はよ言えや。」
お店の奥にカイからのお手紙を見に行ったおーちゃん。
なので、私は不思議な技術で軽くなった剣をマジマジと見つめている。
「なあ、お嬢さん?」
「んー?」
「ハニーのこと頼まれへんやろか?」
「…さっきの身を固めるって話?」
コクリと頷いたよーちゃん。
「鬼人との未来がないんやったら、どうにか贔屓目にお願い出来ひんやろか。」
「…それがおーちゃんの幸せとは限らないよ。ヒマリさんのことも何となく話は聞いたけど、同じ道を辿る可能性がある私じゃない方がって思わんでもないし。」
「お嬢さんなりに考えてくれてるんやね。」
「そりゃあ…おーちゃん良い人だし…。」

