限界まで一人で剣を振り続け。


またその場で動けなくなり、足だけでも動けるようになってから宿に戻り。


自分の部屋で再び眠る。



その翌朝、おーちゃんはあれからまた寝ているのかと思いきや剣の位置が変わっていることに目敏く気付く。




「…剣振る前に飯食えや。」



しっかり起きた私へ食事を置いておいてくれたおーちゃん。


しかし見向きもしなかった私は食べず、そのまま残り置かれている状態。




「知らんとこでオーバーワークされるなら俺が付いてる方がまだマシか。」



やれやれと。


私の眠るベッドの傍に腰掛けるおーちゃん。私が目覚めるのをとりあえず待つことにしたらしい。



そこへ窓辺にカイの鷹がやって来る。


鷹の足から伝書を受け取り、それを読んで眉を顰めた。




『ヨウスケに払う金は了解。今日中に届ける。けど、三日は流石に長いしオウスケだけ今すぐ先に戻って。お嬢には念のため別の護衛渡すわ。』



パルテノン第一将。


その責務に、おーちゃんはほぼ初めて不服を申し立てる。



『お嬢と一緒に帰るからまだ帰らへん。』



それだけカイへの返事として、鷹を再び飛ばす。





「今ここ離れたらお嬢ぶっ倒れるし、また何斬るか分からんし。すまんな、カイ。」



こうして、おーちゃんは剣完成まで残留。


私はそんなことも露知らず。



目覚めては稽古、そして眠り。そんなサイクルを繰り返すだけだった。