私とは正反対に。


涼しげにさっさと浴室から出て行ったおーちゃんを恨めしく思い。未だ火照り続ける顔を、騒ぎ止まない心臓を落ち着けるのに必死だった。




「ヒマリさん苦労しただろうな…。」



このおーちゃんと言う生き物。


国宝級に可愛いくせに、変なとこだけ格好良いし。子供っぽいなと思えば、急に冷静に大人な対応で結局こちらが乱される。



…このギャップに調子が狂うんだ。



筋肉にアプローチする装具は、入浴によって筋肉が緩むと同時に力が弱まり。


動けるようになった腕で私は顔を覆い隠す。もう誰も居ないのでかなり遅いけども。この情けない顔を少しでも隠したかった。





「二面性の人、対応分かんないよー…。」



とにかく気持ちを落ち着けて。


濡れた服を脱ぎ捨て、湯冷めする前にお風呂を出る。脱衣所にしっかり着替えを置いてくれる優しいおーちゃんに、また溜め息が出る。



ここまで来ると、大人の対応腹立つな。




「…おーちゃん?」



着替えて部屋に戻ると、おーちゃんの姿はなくて。


すぐ戻るだろうと思い部屋で待っている間に、疲れ果てた私の身体が睡魔に侵される。



そのままぐっすり眠ってしまう。





案の定すぐに隣の部屋から戻ったおーちゃんが、既に寝ている私を発見。


おーちゃんを待とうと思い座ったまま眠る私を、小さく笑ってベッドに運び寝かせてくれる。




「…麻薬とは良く言ったもんやなあ。」



いつかのレンの言葉を思い出し。


本当にその通りだと苦笑いして、また自分の部屋に戻って行った。