もう何度か味わっている。
この内から溢れる私の熱は、厄介にも力が抜ける。
このまま身を委ねて、どこかへ沈んでしまいたいと思わせられる。
力が抜けたと同時に、逆に四肢は僅かに動く。感覚も戻って来た気がする。そうなると無意識に私の握力に力が入ったらしい。
「…ん。」
嫌なら握り返せと言われた手を、私が握ったことで。
おーちゃんは大人しく唇を離す。とは言え、抱きしめられたまま。何なら離された手を合わせて両腕に収められた私。
「いつまで目閉じてるん?」
「へ…あ、え?」
「何か期待してるん?」
「なっ、してない…!だって…!!!」
男の人の裸なんて…!
見てしまっても目のやり場に困るんだもの!!!
そんなことに怯える私は未だ目を開けられない。
「見慣れてるやろ、戦場とか。」
「戦場!?」
パルテノンの軍事事情どうなってんの!?みんな裸で出陣するの!?
「鬼人もおるのに、どこまで男慣れしてへんねん。ここまで来ると俺は心配や。」
「は、ハルと他の皆さんは違うので!!!」
「そこは違うって認識してるんや。まあ何を期待してるんか知らんけど、別に目開けてええよ。」
「好きで閉じてるので!!!」
私のためです!見てもどうしていいか分かんないし!
非常に困るんです!!!
「…耳まで真っ赤。」
抱きしめたまま、私の耳に触れるおーちゃんの手。
「やっ、めて…っ。」
「……あーせやな。」

