アキトの城と思われる、立派に聳え立つ建物の最上階の窓に降り立つ私。


別にアキトの部屋を知ってたわけじゃないんだけど、たまたまそこが目的地だったようで。




まだ日中にも関わらず、横になってダラダラと過ごしているアキトがそこにいた。




私が声を掛けると、まるで幽霊でも見たかのように驚いています。






「……。」


「アキトー?」


「……。」


「もしもーし。」




声をかけてもかけても返事もしてくれない。



え、他人の空似???





「城間違えた?」


「…リン。」


「あ、やっぱり合ってるよね?」


「……。」




アキトはようやく動き出し。



未だ窓際に降り立ったままの私を、何も言わずに抱き締めた。





「あ、アキト…?」


「遅え。」


「ごめんー。私も早く行かなきゃとは思ってたんだけど。」


「…お前、大丈夫か?」




大丈夫か…とは?


一体なんの心配だろうか?





「なんの話?」


「追放されたってトキに聞いた。」


「あーうん。それは全然大丈夫。というか大丈夫じゃないのは寧ろこっちかなーと心配してたんだけど。」


「…そうか。」




ちらほらと、新めの傷を負っているアキト。


やはりセザールの衰退を食い止めようと、戦いに明け暮れていたんだろう。





「ごめんね。」


「馬鹿。お前が謝ることじゃねえだろ。」


「…とりあえず離してくれない?」




いつまでも窓から落ちるかヒヤヒヤしながら話すのはちょっと怖い。


アキトもそれに気付いて、私を解放する。





「お邪魔しまーす。」




改めてお城へお邪魔します。



立派なお城だなー。


自分の武をもって建城したんだから、アキトって実は本当にすごいよなー。





「…ちょっと雰囲気変わったな。」


「旅人仕様だからねー。王宮にいた時みたいに女の子らしくないからガッカリしてるー?」


「お前が女らしいことがあったかあ?」


「うわ、酷い!それなりに綺麗な服着てたでしょー!?」



確かに女の子らしいような、ふわふわひらひらしたような服ではなかったかもしれないけど!


それでも今よりは女の子っぽかったよ!!!




「剣も変わってるし、増えてる。」


「うん。」


「双剣…か。」


「あ、でもまだ全然使いこなせないから。」




全くなーんにも練習してないし。


ただ二本持ってるだけです。