確かに。


シオンに今以上強くなられてしまうと私も困る。ハルに危険が及ぶかもしれないし。




「じゃあ内緒だね。」


「それが平和やな。」


「…さてー。やるべきことは決まったし、おーちゃん早く帰ろー。」


「今帰ってるやろ。宿に。」



動けない私を抱えたまま、おーちゃんは宿に向けて歩いている。




「もうカイのとこ帰ろうよー?私の剣まだー?」


「三日かかるらしい。」


「…ハルの剣無駄に上物だからか。ほんっと無駄だなー。」


「鬼人のやったんかい。」



くそー。


三日もここで足止めかー。




「やるべきことって稽古の話か?言うとくけど今日みたいに無茶するならもう何も教えへんからな?」


「…おーちゃん意地悪。」


「どこがやねん。大体この怪我どうすんねん。斬って焼いて自分の身体炒め物みたいにしよって。」


「効率良さそうだったからさー。ごめんね。」



宿の部屋に戻るなり、おーちゃんがお風呂にお湯を張ってくれる。


…私身体重すぎるけど入れるかな。




「大体やるべきことって、この稽古は日進月歩。簡単に見えて道のり長いで。」


「いや、単純明快で私には簡単だよー。」



無駄に頭を使う必要もない。


多少時間を費やすことは否めないけども、そこは私の天才的センスで補うとして。





「確実にモノにしたいなら、要は昨日の私を超えればいい。勝ち筋はそこにある。」


「…それが簡単ちゃうって…言っても無駄か。」


「おーちゃんの予定では私が完全に慣れるまでどれくらい掛かると思ってたの?」


「ざっと一年くらいあればなーくらいやな。」



正直に教えてくれたおーちゃんには悪いが、そんなに時間はいらない。


寧ろ一年もかけるわけにはいかない。




「…流石にまだ読めないけど、半分までは持って行かなきゃなー。」


「…もうええわ。」



宿に着いて、私は下ろしてもらったのに。


何故かまたおーちゃんが私を抱き上げて、浴室に連行される。



…何事ですか。




「おーちゃっ…わあっ!?」



ザブーンと。


貯めている途中のお風呂の中に、服のまま落とされた私は水浸し。




「とりあえず身体温めたら飯食えるくらいには動けるわ。」


「だ、だからって…。」



何もこのままじゃなくても…って言うと脱がされはしないか?これも変態思考か?


完全にアキトの悪影響が出ている。