そう呟いた私を、おーちゃんが怯えたように見る。
別に何もしませんよ。向こうが私に何もしない内は、私もその方が都合が良いので。
「お嬢とりあえず城はまた今度。今はさっさと用済ませて戻るで。」
「はーい。」
用とは言っても、目的はないので。
城下町をぶらりとおーちゃんに案内してもらって、建ち並ぶ商店を眺め、物珍しくて楽しく歩いた。
「アレンデールの進軍が始まったぞ!!!」
街の人達の騒めく声が聞こえたので、私は思わず足を止めてしまう。
「相手はソルらしい!鬼人の復帰戦だなあ!おっかねえ!」
「ソルも中々の粒揃いだが忍軍の内輪揉めのこんな時で、苦戦するだろうな。」
「アレンデールが優勢だろう!率いてるのが何せ鬼人だ!負けるわけがねえ!」
私は小さく溜め息を溢す。
早めの出陣は予想していたが、思ったよりもハルの行動が早すぎる。
「…リン。」
「へ?あ、ごめん。大丈夫だよ。」
「お兄さん心配?」
「まさかー。ハルはどうせ負けないし。」
心配そうにレンが声を掛けてくれるが、本当に心配はしてない。
ハルが急いでいる理由も分かってる。
…ただ。
「出陣前に、一目会いたかったなー。」
いつもは必ず見送っていたもので。
それが出来なくて、情けなくも自分勝手にそんなことが寂しいと思ってしまっただけ。
「お嬢も可愛いとこあるんやな。」
「え、リンは可愛いとこしかないよ?」
「…可愛くない時もあるやろ。」
「例えば?」
「…生意気やし、血の気多いし、戦神やし。」
「全部可愛いよね。」
話にならないレンにおーちゃんは呆れるしかない。
私は何も言えませんよ。レンのペースに巻き込まれるのは嫌です。

