あれだけわんさかいた女官達は本当に解雇されてしまったらしく、城の衛兵だけがいる城内で。


半強制的に朝食を食べさせられて。


女官がいないので、ご飯は準備されていても片付けは頼める人がまだいない感じだったのでレンと二人で何とか片付けた。


私は逆に散らかしたんですが、見兼ねたレンが笑いながら綺麗にしてくれました。



それから支度を各々済ませて、城を出て出発しようかと言うところでレンが今、首を傾げている。




「え?なんて?」


「だから抱っこ…。とりあえず抱えてもらえると嬉しいんですー。」


「…飛んでる間ずっと?」



そう言えばレンって体力ないんだっけ。




「うん。でも疲れたら降りるし、レンが辛くないように出来るだけ素早く移動するね。」


「…かなりゆっくり行こう。」


「それだとレンしんどいでしょー。」



そう考えると、私を長距離抱え続けたシオンって実は体力すごいな。


まぁ、二度と飛ばないと誓ったんですけど。




「そういうことなら全然大丈夫。寧ろゆっくりでお願いします。」


「…おーちゃん待たせてるからゆっくりは行かないかなー。」


「おーちゃん?」


「とりあえず進みながら説明するねー。」



レンは王子。


絵本から飛び出してきたようなレンなので、それはそれは流れるような所作でスムーズに私をお姫様抱っこ。




「…何でこう無駄に綺麗なの。」



思うところはあるが、一先ず進みたい私は炎を纏い舞い上がる。