城門を捉え、虚ではあるが入城を試みる。
しかし、門番を務める仕事の出来る衛兵が私の侵入を阻む。
「…待て。」
「……。」
「この城はセザールの重要拠点だ。何用で来た。」
「…れ、レンと…。」
あー。
しんどすぎて喋るのもキツい。
衛兵が変わらず私に何か問い掛け続けているが、もういよいよヤバいのか私の耳にその声も入って来ない。
「…っすまん、病人か!おい!?」
「ごめ…。」
私は城門にて力尽きる。
意識だけはかろうじてある。
私がその場に座り込むのを衛兵が介抱してくれて、そのまま抱えてどこかへ運んでくれているのが分かる。
「凄い熱だっ…!」
「レン様はまだ外出中だぞ!?どうする!?」
「とにかく城へ運ぼう!」
衛兵同士で話し合い、そのまま城へ運んでくれるらしい。
有り難い話です。
「辛抱しろよ!ここの医術師様は神の手を持っている!すぐに楽になる!」
「っ…。」
そうか。
レンは神の手を持っていたんですか。
しんどいながらも、少しだけ思わず口角が上がるのが自分で分かる。
「レン様も時期に帰還される!城の空き部屋に寝かせよう!」
エゼルタから馬車でここへ向かっているはず。
あの宿から朝、私より先に出たんだとしてももう少し到着には時間が掛かると思われる。
私は自業自得と考え、衛兵に運んでもらった空き部屋にて一人眠ることになった。

