かく言う私は。


炎の壁を放出する前にディオンの将と協約を交わしていた。



連合軍の折の謝罪は勿論のこと、シオンへの追手を撤廃。それを約束させた上でアキト軍の進軍を止めた。


進軍を止めはしたものの、やはりディオンが受けたダメージはそれでも相当なもの。



こればっかりは私はどうにも出来ない。



それでも、アキト軍を退却させることでディオン兵の表情に少し安堵の色が浮かんだ。





「…アキトとトキ。」



二人が遠くでこちらの様子を窺っているのには気付いたが、今日は会いません。ごめんなさい。


会えない理由の一つに、私の体調が関係していた。




「ぅー…。」



風邪が治ってもいない身体で無理をしたことが祟り、現状かなりしんどいです。


これがアキトにバレると、トキより怒られる可能性がある。



なので振り返らず平然を装い、私は次にレンの城を目指して空を駆ける。





覚束ない意識の中。


どうにか気力一本。根性で乗り切ることには成功し、レンの城付近に到着。



城に直接着地しなかったのは、この城に敵の目を向けないため。



私は重く熱い身体を引き摺りながら、どうにかこうにか城を目指し歩いた。