二人の読み通り。


ここでアキト達と会ってしまえば、ディオン兵の復讐の牙に加えて、私との関係を鑑みられ更に牙が研ぎ澄まされてしまう。




アキト軍の気配が薄くなったと同時に、私も炎の出力は徐々に弱まる。


それを見てもアキトとトキは不動を貫く。




「…あーあ。飼い犬に手を噛まれるってこんな感じなのかな。」


「飼い犬じゃねえだろ。」


「例えだよ。こんな裏切り紛いなことされたら普通は怒るとこなんだろうけど、俺も絆されちゃったな。」


「相手がリンじゃ仕方ねえ。」



トキは笑って頷く。





「…やっぱ俺も争奪戦参加しようかな。」


「……は?」


「アキトその顔面白い。」


「…いや、お前……え?」



分かりやすく動揺するアキト。


至ってニコニコ楽しそうなトキ。




「冗談に決まってるじゃん。俺はリンとただ仲良く過ごせたらそれでいいし。それに愛でたい時に好きなだけ愛でられるから今の方が都合いいし。」


「…確かに。お前得な立ち位置だな。」


「今頃気付いたの?アキトやっぱ馬鹿だね?」


「うるせえ!!!」




もう既に消え去った炎の壁。


遠すぎてその場から私の姿こそ確認出来ないものの、未だ動かずその先を見つめる。



そして、私が再び飛び立ちこの場を離れたのを見届けてから二人も城への帰路を辿った。