(二)この世界ごと愛したい




ガクンと項垂れるアキトの横で、私の書いた伝書に目を通すトキ。




「…伝書かと思ったら恋文だった。」


「ああ!?」



私からのラブレターを読んで、トキは思わず怒りを忘れてしまったようで。


黒い笑顔からまた、可愛い笑顔へ戻る。




「…リンはやっぱり可愛いなー。」


「俺にも見せろ!」



トキの怒りを恐れた私。


シオンに一応頼んではいるものの、出来るだけ怒りを鎮めたいと企んだ。




『大好きなトキへ


この先は均衡を崩す諸刃の道です。大事なこの軍を進めるわけにはいきません。


アキトを筆頭に引き返してください。


そしてどうか許してね。次会った時にちゃんとお詫びします。ごめんはその時に言います。


トキの好きなお菓子一緒に食べようね。


リン』




一通り読んだアキトが一言。




「可愛すぎるだろっ!?」


「牙抜かれちゃうね。流石リンだよ。」



未だ轟々と聳え立つ炎を前に、トキは少しだけ思い悩む。




「…諸刃の道。」


「あ?」


「俺達がこの先を侵攻すれば確かに世界の均衡は崩れるよね。セザールがディオンを吸収すれば世界情勢は大きく動く。」


「そりゃあそうだろ。」



だけどこの戦国の時代。


そうしなければいけないことを知っているはずの私が、この道を諸刃だと言うその意図がトキには分からなかった。




「リンは一体、何を恐れてるんだろうね。」


「トキ、結局どうすんだよ。このまま撤退すんのかあ?」


「え?するわけないじゃん。」


「まさかあんな羨ましい手紙貰っておいてそれに応えない気か!?」



心の声がダダ漏れのアキトにトキは苦笑いする。




「侵攻はここで止めるよ。俺もこの辺までかなって思ってたし。本当はあと少し先の城まで行きたかったけどね。」


「じゃあ何で退却命令出さないんだよ?」


「だってこのまま疲れたらリン動けなくなるでしょ?そこを狙ってお仕置きしようかなって思って?」


「っ!?」