これ以上進むなと言わんばかりに、炎の壁を放出させ続ける私。
恐れていたトキが策を講じる。
「前線、そのまま後退して。どの道もうこれじゃあ進めないし。進ませたくないらしいし。」
「はい!」
「そのまま弓兵は前に出て。構えるのは前じゃなくて上ね。」
「う、上?」
それはもうニッコリと。
相も変わらず可愛く笑って見せるトキさん。
「鳥は撃ち落としてなんぼでしょ?」
その笑顔に恐れを隠しきれないアキトが狼狽える。
「おいトキ!?何考えてんだ!?」
「まさか俺に歯向かうなんてね。リンには少しお仕置きがいるんじゃないかな。」
「本気で撃つつもりか!?」
「そんなわけないじゃん。アキトの可愛いリンに怪我はさせないけど。威嚇射撃を少しだけ、ね。」
やはりトキには逆らってはいけないと。
この場の誰もがそう思った。
しばらくすると、最前線で戦っていたサクが率いる隊がアキトのいる本陣に戻って来る。
「サク!」
「あ、隊長お疲れっす。」
「怪我人は!?」
「リンちゃんの炎での怪我人はいませんよ!最初に綺麗に敵味方分断されたんで!」
あっけらかんと話すサクに、トキが近寄る。
「サク、リン一人だよね?」
「トキさんもお疲れっす!一人でした!そしてこれトキさんに渡してって頼まれたんですけど…。」
私は混戦の中、敢えてサクを探して一枚の紙を手渡していた。
渡してからこの炎の壁を設置した。
「…伝書?」
「トキに!?俺には!?」
「俺も最初ビックリしすぎて何が何だか分からないまま渡されたんで、隊長の分は知りません。」

