再び所変わって。
ディオン軍と相対しているアキト軍。
私の読み通り、ディオンの足元を狙って進軍を始めたアキト軍はその猛威を振るっている。
「おいトキ!このままじゃ国を落としちまうぞ!?」
「恩賞どれくらい貰えるかな。」
驚いているのは当事者たち。
侵攻の足が止まらないと嬉々揚々進軍を続けるアキト軍。
「落とし所どうすんだ?」
「本当どうしよう。」
「考えなしか!?お前が!?」
「アキトが万全でまだ残ってるからさ、正直本当に落とそうと思えば落とせちゃう気がするんだけど。流石にそこまで準備してないし。」
トキは優秀な軍師だ。
侵攻出来るなら出来るだけ進めたい、しかしその後のことまでしっかり考えている。
押せば押すだけ、返ってくる波も大きくなると。
「あーでも恩賞捨て難い。」
「どうすんだ?ほっといたらコイツ等どこまでも進んで行くぞ?」
「仕方ない。とりあえずサクに伝令…を。」
トキが伝令を放つために前線に目を向けると、進軍の足がピタリと止まっているように見えたので首を傾げる。
それもほんの一瞬。
進軍の足が向くその道に、突如大きな炎の壁が出現する。
「っ!?」
この世界で、こんな芸当が出来る人間。
それを思い浮かべたら、トキはむっと顔を顰め、アキトはニヒルに笑う。
「…掌返しだ。」
「アイツ何考えてんだあ?」
「…とにかく最前線の兵一旦下げて…って、アキトどこ行くの。」
「リンのとこ。」
「馬鹿なの。リンが居るのはたぶん壁の向こう側。リンは俺等に会う気はないんだよ。」
トキはすぐに状況を読んだ。
私の思考を読んだ。
読めたからこそ、意地悪そうに笑った。
「…どんなお仕置きにしようかな。」
「顔。トキ、顔がとんでもねえぞ。とりあえず俺近くまで行ってくる。」
「だからダメだって。」
ピシャリとトキがアキトを制止。
じっとトキを睨むので、今度はトキがそんなアキトにニヒルに笑う。
「安心して。俺が会わせてあげるよ。可愛い可愛いリンに。」
「…だから顔がやべえって。」
「悪い子には相応の罰がいるよね?」

