聞く耳も持たない。
埒が開かない。
苛立つシオンは、怒り任せに退室しようかと考えるが止める。
家に居ても城に居ても付き纏われる可能性があるから。
そこでシオンは手に持ったままの手紙に目を向けて、脅迫状を初めて読む。
「…俺が呼ばずとも向こうが勝手に来る。」
「それ脅し文句でしょ?」
「…俺の知った事じゃないけど。」
「本当に来るなら願ったり叶ったりだけど。目的がないじゃない。」
シオンは手紙から総司令へ視線を移す。
「…龍の逆鱗にでも触れたんじゃない?」
そう言って微かに笑ったシオン。
もういつぶりかも分からない、寧ろ見たことあったかレベルの長男の笑顔を見て目を点にする総司令。
「し、シオンが…笑った。」
「……。」
「何か感動!僕てっきりシオンはお姫様に恋しちゃったのかと思ったけど違うのかもね!ただの好奇心かな!」
「…うるさい。」
「けどそのコネクション絶対手放さないでおいてね!いざって時に利用したいから!」
己の気持ちを隠す事に成功したシオン。
父は息子の笑顔にテンションが上がり興味が削がれたらしい。不本意ながら息子の勝利だ。
「…てっきり、親子揃って同じ道を辿るのかってノスタルジーなことまで考えちゃった。」
「何の話。」
「僕の初恋の話だよ?気になる?包み隠さず話すよ?一緒に食事でもどう?」
「断る。」
エゼルタ王から釘を刺されていることもあるし、どうやらシオンと私の関係性も、ただの利害関係の一致として認識してくれただろう総司令に安堵して立ち上がるシオン。

