凍りつくほど冷たいシオンの声。
凍てつく殺気が立ち込める。
そんなシオンの言葉の続きも聞かず、調子の変わらない総司令。
「丸め込んで手懐けて、いっそ惚れさせちゃえばいいよ。シオンがいなきゃダメになるくらいにね。」
「……。」
「シオンがやらないなら僕がやろうかな。」
「…勝手にしろ。」
その答えは総司令には意外なもの。
シオンは私に惚れているものと確信に近いものを感じていた。
「…僕の勘違い…なわけないよね?」
「……。」
総司令はもう一枚の紙を取り出す。
それはシオンに宛てた今回の約束を取り付けるためにクロに運ばせた手紙。
「綺麗な字だよね。」
「……。」
「シオンにしては詰めが甘いんじゃない?」
同じ筆跡のその二枚の紙を、総司令はシオンへ手渡す。
「お気に入りは大事に隠さなきゃ、ね?」
「…勝手に入るな。」
「今まで密会してたんでしょ?姫様には黙っててあげるけど抜け駆けなんて酷くない?」
もう隠し通せないと判断したシオンは、この部屋の椅子に黙って座る。
出来るだけ情報は与えないようにしなければならない。
父であり、師でもある…総司令を相手に。
「…トキの戦場に行った。」
「え、何しに?トキを助けに?もしかして良い感じなのはトキの方なの?」
「…さあ?」
「…兄弟で取り合うなんて…あー。僕そんな惨いこと息子たちにさせたくないよ。」
残念ながらトキにその気は全くない。
「間を取って僕がお嫁さんにしたらシオンとトキの母親にしてあげられるから、それで解決しないかな。」
「…気色悪い。」
「あ、やっぱシオンが欲しいんだ?」
背筋の凍るような父の発言に思わず本音が漏れたシオン。
やはり食えない人物らしい。
「それを承知でもう一度頼むよ。お姫様をどうにかここに誘い込んで来て。空き時間はシオンの好きにしていいからさ。」

