シオンはまた王室へ戻り、総司令の到着を待つ。
エゼルタ王は病に倒れたが今はかなり回復しているように見える。だが、その間に奪われた実権。それまでに奪われた実権。
王の権威を、削いで行くのは他でもないこの国の姫。
「…陛下、お呼びです?」
強面顔がより強張った王と、それを気にも止めないシオンがいる部屋に総司令がやって来る。
「あれ、シオンおかえり。」
「シキ。貴様随分勝手をしたな。」
「心当たりが多すぎますねー。」
起因が分からないとわざとらしく首を傾げる総司令に、エゼルタ王が溢れんばかりの怒りを向ける。
「あの姫には手を出すな。」
「ああ、アレンデールの魔女の件ですか。今回僕も初めてその力を見ましたけど素晴らしいものですよ。是非この国に据え置きたいと思ってます。」
「ふざけるなっ!!!」
まだ万全ではないだろうに、エゼルタ王は立ち上がり総司令を掴み掛かる。
胸倉を掴まれ壁に衝突するように押さえつけられた総司令は、怯むこともなく至って変わらずニコニコと笑う。
「…力を欲して何が悪いんですか?あの子は今アレンデールを追放されて、放っておけば他国に盗られるかもしれないですよ?」
「黙れ。あの娘は…あの姫だけは駄目だ。」
「安心してください陛下。僕はもう手荒なことはしませんよ。すんごい怖い手紙もらったんで刺激したくないんですよね。」
エゼルタ王は掴んだ手を離し、再び椅子に腰掛ける。
この重々しい雰囲気の中、シオンはそれを傍観するだけ。この二人の衝突は決して少なくはないからだ。
「…久々に見ました。陛下のその般若みたいな顔。」
「黙れ。」
「嬉しいな。魔女が絡むと陛下は昔の陛下に戻れるんですね。養女にでもしたらどうですか?」
「…首を刎ねるぞ。」

