私が飛んでいくのを眺めたシオンは、それからすぐに王都へ帰還する。
炎騒ぎで一層守りを強化したように見える城を見て、無意味な事をと呆れながらシオンは目的の場所を目指す。
「シオン将軍っ!」
その途中で、文官に引き止められる。
「…何。」
「姫様がずっと探しておられます!御目通り願います!」
「……。」
ここは無視でシオンは足を進める。
まだまだ会う人会う人、シオンをユイ姫の元へ向かわせるべく声を掛け続ける城の方々に見向きもせずにシオンは進む。
…王室。
エゼルタ王の部屋へ。
「…シオンか。」
「…お加減はいかがですか。」
流石に王相手に無礼を働く事はなく。
シオンはきちんと礼を通す。
「ああ、問題ない。城で騒ぎになっている件だが、例のアレンデールの姫の仕業だそうだな。」
「…はい。」
「…そうか。あの姫が…この国に…、来ているのか。」
エゼルタ王はまるで懐かしむように遠くを見る。
「面識が?」
「…いや、ない。それよりユイの様子はどうだ。」
「…相変わらずです。」
「あー…そうか。迷惑を掛けてすまん。」
本当に申し訳なさそうにエゼルタ王はシオンに謝る。
ユイ姫がシオンに嫌がらせ紛いなことをしていることを知っている。行為の強要、行動の制限、他にもシオンを縛ろうと企てていることを知っている。
「昨日、そのアレンデールの寵姫を捕えようとユイ姫と総司令が結託してました。見事に返り討ちに遭ったようですけど。」
「捕える…だと?」
エゼルタ王はかなりの巨躯。強面な表情。
所謂厳ついそんな人の眼光が鋭くなる。
「シキを呼べ。」
「…御意。」
シキとは総司令の名前で。
呼べと頼まれたシオンはその意図は読めないまま、言われた通り総司令を王室へ向かわせろと伝者を放つ。

