私はシオンのことを少しずつ解読している。
しかしそれはシオンも同じ。
一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、互いの長所も短所も…攻め所も露見する。
「〜っや、やればいいんでしょ!?」
「はい。」
大丈夫だ。
膝枕同様、絶賛安売り中だ。
こんなの減るもんじゃないし。アキトの城では大盤振る舞いだった。
…なのに。
ここは外。しかもまだ朝。そして目の前のシオンに熱い視線を送られて怖気付く。
「…まだですか。」
「まっ、待って。精神統一してる。」
大丈夫だ!私!
私だって子供じゃない!もう経験者だ!初心者ではない!…はずだ。
恐る恐る、外套でほとんど隠れているシオンに手を伸ばしその顔に触れる。
「〜〜っやっぱ無理ッ…!」
「…無理じゃない。(何コレ。可愛いの度合いどうなってんの。)」
逃げるのを許さないシオンが、私の腕を離してくれない。
意を決して…と言うか早くこの場から逃げ去りたくて、私は心を無にして勢い任せにキスをした。
…ほっぺに。
「は?」
「…やめて見ないで。」
「…震えてる。」
「いっ、言わないで離して。」
そっとシオンが腕を離してくれた。
恥ずかしさに震える私の謝罪は受け入れられたらしい。
「…良いもの見れたしいいか。」
「っ邪狼…。」
「本当に食い荒らしたくて仕方ないんで、今のうちにどうぞ行ってください。」
「〜っ!?!?」
食い荒らすって何!怖いよっ!
もう居た堪れない感情が溢れ、私は炎を纏う。
「し、シオンのばかーっ!!!」
負け犬の遠吠えの如く。
情けなく叫びながら私は大空へ舞い上がるのでした。

